Back to index >>> 3rdeye's Writting.

 

 

2005/11/20
グループ展
Melting Pot Vol.2 -In the Book -

 

大分遅れての報告ですが
10/15〜10/21までのグループ展
Melting pot Vol.2 ~In the Book ~が無事終了しました。
前回は4人でしたが、今回は8人と倍になり
その分お客さんも大勢来てくれて賑やかでした。
観にきてくれた方々に感謝です。
同世代の仲間と共に作品を発表できる場が持てて
ほんとに良かったな〜と実感した1週間。
メンバーも皆充実感を味わえたようで
早くもVol.3の企画を練り始めているところです。
今回の展覧会は、メンバーがそれぞれ自分のお気に入りの本を一冊選び
それから得たインスピレーションで作品を作り
選書と共に展示するというものでした。

3rdeyeが選んだ本は『宮沢賢治詩集』
その中から『告別』という詩をピックアップし、絵を描きました
『告別』とはこんな詩です。
  
  おまへのバスの三連音が
  どんなぐあいに鳴っていたかを
  おそらくおまえはわかっていまい
  その純朴さ希に充ちたたのしさは
  ほとんどおれを草葉のようにふるわせた
  もしもおまえがそれらの音の特性や
  無数の立派な順列を
  はっきり知っていつでも自由に使えるならば
  おまへは辛くてそしてかがやく天の仕事もするだろう
  泰西著名の楽人たちが
  幼齢弦や鍵器をとって
  すでに一家をなしたがように
  おまへはそのころ
  この国にある皮革の鼓器と
  竹でつくった管とをとった
  けれどもいまごろちょうどおまへの年ごろで
  おまへの素質と力をもっているものは
  町と村との一万人のなかになら
  おそらく五人はあるだろう
  それらのひとのどの人もまたどのひとも
  五年のあいだにそれを大抵無くすのだ
  生活のためにけづられたり
  自分でそれをなくすのだ
  すべての力や学や材というものは
  ひとにとどまるものではない
  ひとさえひとにとどまらぬ
  云わなかったが、
  おれは四月にはもう学校に居ないのだ
  恐らく暗いけはしいみちをあるくだろう
  そのあとでおまえのいまのちからがにぶり
  きれいな音の正しい調子とその明るさを失って
  ふたたび回復できないならば
  おれはおまへをもうみない
  なぜならおれは
  すこしぐらいの仕事ができて
  そいつに腰をかけているような
  そんな多数をいちばんいやにおもふのだ
  もしもおまへが 
  よくきいてくれ
  ひとりのやさしいむすめをおもふようになるそのとき
  おまへには無数の影と光りの像があらはれる
  おまへはそれを音にするのだ
  みんなが町で暮らしたり
  一日あそんでいるときに
  おまへはひとりであの石原の草を刈る
  そのさびしさでおまへは音を作るのだ
  多くの侮辱や窮乏の
  それらを噛んで歌うのだ  
  もしも楽器がなかったら
  いいかおまへはおれの弟子なのだ
  ちからのかぎり
  そらいっぱいの
  光りでできたパイプオルガンを弾くがいい

 

 

素晴らしい詩ですね。
売れないイラストレーターをしている現在、この詩は心の支えになっています。
今日はちょっと独りになりたい。
とか
自分の目標に向かってするべき事があって
人からの誘いを断るとき
こんな台詞でキメるのはどうでしょう?
『あ、わりぃ、今日は草刈りしなきゃならないんだわ。』

 

© The 3rdeye production. All rights reserved.

 

Back to index >>> 3rdeye's Writting. To Next Page>>>>>